こんにちは 院長の高屋です。
今回は骨折の話です。
当院に来院する整形外科疾患でも特に多いのが小型犬の骨折です。しかも8割以上が橈尺骨(トウシャクコツ)つまり前腕部(肘~手首の間)の骨折です。
最近とても多いトイ犬種といわれる小型犬(トイプードル、チワワ、ポメラニアンなど)では、非常に弱い力でこの橈尺骨が折れてしまうのです。
・ソファーから飛び降りて着地に失敗して折ったり、
・抱っこしていて落ちてしまい折れたり、
・ショッピングカートに乗せてお買い物中に飛び降りて折れたり、、、
こんなちょっとした日常的に起きる事故で骨折してしまうのがトイ犬種です。
また、トイ犬種の橈尺骨の太さは爪楊枝2本分位しかないこともあり、手術自体が難しく、さらに血流量も大きな動物に比べて少ないので折れてしまうと再生しにくい(治りにくい)非常に厄介な部分です。
そして、骨折すると多くの場合外科手術が必要です。
手術にはピンやプレートを使うことが多いのですが、古典的なプレートで骨を固定すると、プレートが骨の治癒を阻害してしまい、癒合不全が起こる可能性がありました。(「プレート」というのは、骨折の治療に使われる、骨と骨をくっつけて固定するための金属です。)近年はトイ犬種の骨折が非常に多くなっており、従来の骨折整復用インプラントは、小さいワンちゃんには不向きなものが多く、治療に苦慮することがありました。
以前から当院で使用していた DePuy Synthes(デピューシンセス)社の MATRIX に加え、今回新たに、さらに小さな2.0kg以下の体重にも対応出来る TITAN LOCK を導入しました。
MATRIX
TITAN LOCK
実際に使用するスクリューとプレート
骨模型実習での装着後の TITAN LOCK
ロッキングプレートとは、プレートとスクリューがロックされ、骨と一体化することで骨折部分が強固に固定されるとともに、骨に対しての負担が大幅に軽減され動物への負担も少なくなります。従来の古典的なプレート法と比較して骨折の治癒率を高めることが出来るため、トイ犬種の橈尺骨折にはとても有用です。
つい先日も休診日にロッキングプレートの講義・実習を受けて、さらにバージョンアップしました。状況により様々な治療方法を選択が出来るようになりました。
今後も、セミナー・勉強会参加による臨時休診などで飼い主様にはご迷惑おかけしますが、動物たちにより良い獣医療を提供するためには勉強し続けねばなりません。どうかご理解をお願い致します。
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